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セーラを陰で支える理由

 投稿者:読売丸  投稿日:2006年 5月13日(土)13時48分56秒
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   この地球上のどこかに“ゼンドーラル大陸”という幻の世界への扉がある。今まで数多くの冒険家や研究者がその扉を探したが、誰一人として見つけ出すことができなかった。しかしここ数十年前から、大西洋付近の海を航海中の船が突然姿を消すと言う事件が起きていた。人々は、「ゼンドーラル大陸に迷い込んだんだ」と噂をしだ。

 突然ですが、ここでゼンドーラル大陸について説明しましょう。ゼンドーラル大陸とは、異次元世界の大陸で、6つの国が存在します。
 東部の中心にどっかりかまえる“シャイアント帝国”、シャイアント帝国からそう遠くなりところに“ズワローン国”、海沿の楽園“ペイスタ王国”、西部で一番大きな“タイガーン教国”、西部南側に勢力を広げている“カンプ王国”、タイガーン教国とカンプ王国の間に“ドラッギン国”。以上6つの国が自らの国力を尊重し、たびたび激しい戦争を繰り広げている言わば“戦国時代”的な匂いがする大陸です。しかしそれは少し前の話。最近ではあまり激しい戦争をすることもなく、安定を保っています。

―ここはシャイアント帝国大広間―
 シャイアント帝国のジャビドゥーザ王は、王直属の部下である読売丸を呼び、こう命じた。
「読売丸よ、今日もまたあの“ミンチン女子学院”でセーラが悲しい思いをしている。行って元気付けてあげなさい。」
ん? また王様はあのセーラという子のことが気になる様子だ。前々から思っていたが、王様はなぜそこまであの子のことを気にかけるのだろう? と疑問に思った読売丸は王に尋ねた。
「あの、王様は以前よりミンチン女子学院で働いているセーラという子のことを気にされているようですが、なぜそこまであの子のことを気にかけていらっしゃるのですか?」
ジャビドゥーザ王はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに立ち上がり、静かに話し始めた。

「あれは、10年ほど前のことだ。我がシャイアント帝国は、西部のタイガーン教国の防衛艦隊を撃破すべく部隊を西に進めていた。当時私はシャイアント帝国第一特別進撃部隊の隊長を任せられていたが、その中に私に忠実で優秀な男がいた。その男こそ“ラルフ・クルー”セーラの父親だ。読売丸と同じように、ゼンドーラル大陸に迷い込んできたのだ。」
「な、なんですって!? ということは・・・」
「まぁ、最後まで聞け。タイガーン教国の防衛艦隊が陣を構える地点のそばまできたとき、私は少し考え事をしていた。ラルフをこのままずっとシャイアント帝国にいさせていいものか? 元の世界へ帰してやった方がよいのではないか? そんな中、背後から近づいてくるタイガーン教国の狙撃手が私に向けて矢を放ったのに気づかなかった。」
「た、隊長ー!!」
「とっさに私をかばいラルフは矢を受けたが、幸いなことに軽い怪我で済んだ。そんな彼の活躍もあり、我が第一特別進撃部隊はタイガーン教国の防衛艦隊を撃破したのである。」
 「当時シャイアント帝国を治めていたジャビグロス王はラルフの活躍ぶりを知り大いに喜びこう言った。」
「ラルフよ、今回のそなたの活躍は大きい。何か望みを叶えてやりたい。さぁ、申してみよ」
「それでは、この私が元の世界へ帰るのをお許しください。私はこのシャイアント帝国が大好きです。王様、それにジャビドゥーザ隊長の下につけて大変誇りに思っております。しかし私には妻と子、待っている人たちがいます。おそらく、私は行方不明になったと聞かされていることでしょう。しかし妻と子は私の帰りを信じています。」
「よかろう。そこまで申すなら仕方がない。」
 「それから数日もしないうちにラルフは帰ってしまった。長い間私に尽くしてくれた。本当に素晴らしい部下だった。」

 「あれから10年。運命とはなんとも残酷だ。ラルフに恩返しをしてやることもできずに病気で死んでしまったのではないか。」
「はい、聞くところによると、インドの奥地で熱病にかかったとかで。そして、父親が亡くなり一文無しとなったセーラさんが下働きにまわったと。」
「そこで、セーラを陰から支えることによってラルフへの恩返しと私は考えたのだ。今まで何もしてやれなかった。だから、せめてもの恩返しなのだ。読売丸よ、これから私と共にセーラを陰から支え続けていこうではないか。」
「王様のお気持ち痛いほど分かりました。そういうことならこの読売丸、全身全霊をもってセーラさんをお守りします!」

 セーラを陰で支えるという読売丸の重大な任務が、こうして幕を開けたのだった。
 
    (丘田けん) ご投稿感激です。
読売丸さまもついに仲間入りを果たしてくださりましたね。どうぞこの小説掲示板も博物館同様、ごひいきください。

なるほど、ラルフ氏は貴方の国を戦火から守った戦士だったのですね。そして今、貴方が亡き氏にかわってセーラ嬢を…。
納得です。
 
 
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